アシナガバチに刺されてしまった場合、パニックにならずに冷静かつ迅速な応急処置を行うことが、その後の症状を最小限に抑える鍵となります。最も重要なことは、まずその場から速やかに離れることです。一匹の蜂に刺されたということは、近くに巣がある可能性が高いからです。蜂は危険を察知すると仲間を呼ぶための警報フェロモンを出すことがあり、その場に留まっていると他の蜂から集団で攻撃される危険性があります。安全な場所へ移動したら、次に患部の処置に移ります。刺された箇所を指でつまんで毒を絞り出そうとする人がいますが、これは絶対にやってはいけない行為です。無理に絞り出すと、毒液がさらに体内に広がり、組織の損傷を悪化させてしまう可能性があります。また、口で吸い出すのも、口内に傷があった場合にそこから毒が吸収されるリスクがあり危険です。正しい処置は、まず流水で患部を優しく洗い流すことです。水道水で構いませんので、石鹸などを使って綺麗に洗浄し、傷口についた可能性のある細菌や汚れ、そして皮膚表面に残っているかもしれない毒液を取り除きます。洗い流した後は、清潔なタオルや布で包んだ保冷剤、氷などで患部をしっかりと冷やしてください。冷却することで血管が収縮し、毒の吸収を遅らせるとともに、痛みや腫れを和らげる効果が期待できます。冷やす時間は十五分から二十分程度を目安にし、凍傷にならないよう注意が必要です。その後、市販の抗ヒスタミン成分やステロイド成分が含まれた虫刺され用の軟膏があれば、それを塗布します。これらの薬は、アレルギー反応による痒みや炎症を抑えるのに役立ちます。これらの応急処置を行っても、強い痛みや腫れが続く場合や、気分が悪くなるなどの全身症状が現れた場合は、迷わずに医療機関を受診してください。特に、過去に蜂に刺されたことがある人はアナフィラキシーのリスクがあるため、細心の注意が必要です。