ゴキブリは、その見た目や不衛生さだけでなく、私たちの想像を超えるような驚くべき生態を数多く持っています。その中でも特に衝撃的なのが、「共食い」という習性です。この習性は、ゴキブリの赤ちゃん(幼虫)の生存戦略や、駆除方法にも深く関わってきます。ゴキブリは、昆虫の中では珍しく、雑食性が非常に強い生き物です。食べ物の好き嫌いがほとんどなく、人間の食べこぼしはもちろん、髪の毛、本の糊、石鹸、そして仲間の死骸やフンまで、ありとあらゆる有機物を餌にします。この雑食性こそが、彼らが厳しい環境でも生き延びてこられた理由の一つです。そして、餌が不足するような状況になると、彼らはためらうことなく共食いを始めます。特に、孵化したばかりの赤ちゃんが大量にいる場所や、巣のように密集した環境では、弱った仲間や死んだ仲間は、貴重なタンパク源として他の個体の餌食となってしまうのです。一見すると残酷な習性ですが、これはコロニー全体を維持し、種として生き残るための、彼らなりの合理的な戦略と言えるかもしれません。この共食いの習性は、ゴキブリ駆除において非常に重要な意味を持ちます。近年主流となっている「ベイト剤(毒餌)」は、この習性を巧みに利用して、巣ごとゴキブリを壊滅させることを目的としています。ベイト剤には、フィプロニルなどの遅効性(効果が遅れて現れる)の殺虫成分が含まれています。餌を食べたゴキブリはすぐには死なず、巣に帰ってから死にます。そして、そのゴキブリの死骸やフンを、巣にいる他のゴキブリ(赤ちゃんを含む)が食べることで、毒が次々と巣の中に広がっていくのです。これが、ベイト剤が持つ「ドミノ効果」や「連鎖効果」と呼ばれる仕組みです。つまり、ゴキブリの共食いという恐るべき生態が、皮肉にも彼ら自身の首を絞めることになっているのです。ゴキブリの赤ちゃんを見つけたら、彼らのこの習性を逆手にとったベイト剤を設置することが、隠れた仲間を一網打尽にする上で非常に効果的な手段となります。
ゴキブリの赤ちゃんは共食いする?その恐るべき生態