アシナガバチの巣が近くにある場合、一日の中で最も注意すべき「危険な時間帯」が存在します。その時間帯を把握し、刺激するような行動を避けることが、刺される被害を未然に防ぐための鍵となります。アシナガバチの活動が最も活発になり、攻撃性も高まる危険な時間帯は、ずばり「日中の気温が高い時間」、具体的には午前10時頃から午後3時頃までです。この時間帯は、働き蜂が餌集めや巣作り、そして巣の防衛のために、最も頻繁に巣と外を行き来します。巣の周辺は交通量が多くなり、人間との遭遇の機会も増えるため、必然的にトラブルが起きやすくなります。この危険な時間帯に、特に避けるべき行動がいくつかあります。まず、「巣への接近」です。庭仕事や草むしり、洗濯物の取り込みなどで、無意識のうちに巣から2〜3メートル以内の距離に近づいてしまうと、巣の警備をしている蜂に「敵」と見なされ、威嚇されたり、攻撃されたりする可能性が高まります。巣の場所を正確に把握し、この時間帯は巣の周辺での作業を避けるのが賢明です。次に、「振動を与える行動」です。巣が作られている壁の近くでボール遊びをしたり、巣のある木の枝を剪定したり、近くでエンジン式の草刈り機を使用したりすると、その振動が巣に伝わり、蜂を強く刺激します。蜂は振動に対して非常に敏感であり、巣が攻撃されていると勘違いして、一斉に攻撃してくることがあります。また、「匂い」にも注意が必要です。香りの強い香水やヘアスプレー、柔軟剤などは、蜂の警戒フェロモンと成分が似ている場合があり、蜂を興奮させることがあると言われています。この時間帯に巣の近くを通る際は、強い香りを身につけるのは避けた方が無難です。アシナガバチは、本来おとなしい性質の蜂ですが、それはあくまで「巣に危険が及ばない限り」という条件付きです。彼らが最も活動的な時間帯には、彼らのテリトリーを尊重し、刺激しないように静かに過ごす。それが、共存(あるいは駆除を決めるまでの猶予期間)のための最も重要な心得です。