夏の終わりのよく晴れた午後、私は庭の生垣の手入れをしていました。伸びすぎた枝を剪定ばさみで切っていた、まさにその時です。右腕にチクッというよりは、熱した針を突き刺されたような、強烈で鋭い痛みが走りました。何事かと腕を見ると、一匹のアシナガバチが飛び去っていくのが見え、刺された箇所がみるみるうちに白く盛り上がっていくのが分かりました。痛みは一瞬で広がり、ズキズキとした拍動を伴う激痛に変わりました。慌てて家の中に駆け込み、すぐに流水で患部を洗い流しました。インターネットで調べた応急処置を思い出し、毒を絞り出そうとはせず、ただひたすら冷たい水で冷やし続けました。しかし、痛みは一向に引きません。それどころか、刺された点を中心に、半径五センチほどの範囲が真っ赤に腫れ上がり、熱を持っているのがはっきりと分かりました。まるで腕の中に小さな太陽ができてしまったかのようです。その日の夜は、痛みと腫れでほとんど眠ることができませんでした。腕を心臓より高く上げると少し楽になる気がしましたが、少しでも動かすと激痛が走ります。翌朝になると、腫れはさらに広がり、肘の関節が曲げにくいほどになっていました。痒みも出始め、痛いのと痒いので、どうしようもない不快感に襲われました。結局、近所の皮膚科を受診し、抗ヒスタミン薬とステロイドの塗り薬を処方してもらいました。医師からは、腫れが完全に引くまでには一週間ほどかかるだろうと言われ、その言葉通り、頑固な腫れと痒みは数日間続きました。この体験を通じて、私はアシナガバチの毒の恐ろしさを身をもって知りました。たった一匹の小さな蜂がもたらす影響の大きさに驚くとともに、自然の中で活動する際の心構えを改めさせられる出来事となりました。あの日の焼けるような痛みは、今でも忘れられません。